アートの仕事 in Hollywood

ハリウッド・キャラクターデザイナー片桐裕司による、ハリウッド映画の仕事の話、絵や造形の上達の仕方・プロになりたい人などに役立つ情報を発信しています

最終章:才能なきアーティストたちへ

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なんか偉そうなタイトルにしましたが(笑)

才能なきアーティストとは、かく言う私も含みます。

改めて紹介しますが、私は彫刻セミナーというものを主催しており、今までに何千人もの生徒たちを指導してきました。

多くのアートセミナーは大概、「やり方」を教えるものが多いです。

「やり方」というのは、この様な道具を使って、順番はこうしてとかいったものです。

しかし私の初回のセミナーは、彫刻セミナーといいながら、彫刻道具の使い方や、やり方や順序などはほぼ教えていません。

しかしセミナーに参加すると、みんなそれを教わらずとも出来る様になります。

それは参加した本人たちも驚くわけですが、これはマジックでもなんでもなくちゃんとした理由があるからなのです。

これは、才能も技術力もなかった私が自分自身上達してきたプロセスを分析して考えた、私自身の経験から構築した理論です。

 今回は、その仕組みについて解説したいと思います。

 

1. 創作活動を生み出す仕組み

まず創作活動を一本の木として表現します。

その木には根っこがあり、幹があり、枝葉があります。

 

まず端っこにある枝葉の部分は何かというと、ここは「技術」にあたります。

「技術」というのは、どういう道具を使うかとか、どういう順番でやっていくかと言ったものです。

このシリーズの最初の方で解説しましたが、いくら順番や道具の使い方を学んでも、上手い人と同じ様にはできないのです。

なぜならばそこには「知識」がないからです。

「知識」とは、この形がこうなっているとか、この中にこういう筋肉が入っているかとかいった情報です。

これが木の幹の部分にあたります。

「知識」という幹を基にして、「技術」という枝葉が使えるのです。

いくらうまい人の技術を真似ても、その人の知識を知らなければ、決してその様にできる様にはなりません。

これは創造活動における絶対的な条件です。 

前にも書きましたが、デッサンがめちゃくちゃうまい人でも、造形が全然ダメな人がいます。

hiroshikatagiri.hatenablog.com

それはデッサンの技術という枝葉だけを鍛えて、形がどうなっているかという知識を得る事をあまりしなかったからなのです。

そういう場合は、見たものしか描けなくなるのです。

人の顔の正面を描いていて、じゃあその人が首を傾げて少し横を向いたらどうなるのか? となった時に描けないのです。

いくら描く技術があったとしても、モデルがポーズを変えた時の形を想像できなければ表現することはできないのです。

知識があってこそ、技術が役に立つのです。

技術と知識

これが木の枝と幹になります。

 

単純に上手になるというのは、知識を得る(勉強する)技術を磨く(練習する)の繰り返しによるものです。

ひたすら勉強して繰り返し練習をすれば確実に上手くはなっていくのですが、やらねばやらねばという義務感になってくると、だんだん苦しくなってきます。

誰かにさらわれて閉じ込められて、無理矢理練習をさせられる感じですね。

hiroshikatagiri.hatenablog.com

そうなると、上達スピードが極端に遅くなります。

そして嫌気がさして、繰り返すことが苦痛になるという悪循環に陥ります。

上達しないから、自分には才能がないから努力しても無駄なのではないかと思ったっりしてしまいます。

 

そこでその根っこの部分にさらに重要なものである「心」があるのです。

2. 枝葉や幹よりも大切な根っこ

あれをしなければ、これをしなければという気持ちの代わりに、ああしたい、こうしてみたいというポジティブな自発の心ですね。

つまり自分が何をやりたいのか、何を表現したいのかということです。

それを根底に持って、そのやりたいもののために勉強し、練習するというポジテイブなサイクルを作るのです。

そうすれば続けることができます。

そして続けられれば確実に上達するのです。

↓上記の理由で私自身が大幅に上達するきっかけを掴んだ経験の話です

blog.livedoor.jp

3. バランスの取れた練習を心がける

この連載を通して、「気持ち」「勉強」「練習」の3点のありようと重要性を解説してきました。

 

知識は当然大事なので、勉強しなければいけません。

そして練習をしなければ当然上達はしません。

しかし、一番重要な気持ちが苦しいと、勉強も練習も同時に苦しくなって続けることが困難になってしまうのです。

 

これを読んでくれている皆さんは、本来は創造することが好きなのだと思います。

好きなはずなのに苦しくなってしまう。

そんな時は、気持ち、勉強、練習のバランスが崩れていると思ってください。

そんな悪循環に陥った時の解決策として、これまで書き連ねてきた理論を使ってもらえればと思います。

 

私の主催する彫刻セミナーは、技術力の向上と、見る目を養えるのはもちろんですが、それ以上に大事な、技術と知識を最大限に発揮するための気持ちを大いに高めることができます。

 

何よりもそれが上達への最大の近道なのです。


気持ちが高ぶれば、自信が持てる様になれば、自発的に勉強や練習をすることができるのです。

 

絶対に無理だと諦めていた美術の仕事に就こうと、セミナーの後に一念発起してその夢を叶えたり、すでにプロだけど伸び悩んでいた時に参加して壁を破ることができたり、どこの教室に通っても自信が持てなかったのが、私のセミナーに参加して自信をつけることができたりと、その様な嬉しい話は枚挙にいとまがありません。

 

私自身も価値を感じて全力で臨んでいます。

 

理論も大切ですが、何よりも大切なのは「やる気」を持つことだと思います。

 

その様なきっかけを作る手助けをできることは何よりも幸せなんだなぁと感じてセミナーを続けております。

 

出来ない人ほど、自信がない人ほど早く来たほうが得です。笑

もう少し上達してから参加しようと思ってる人は、とんでもなく人生を損しています。

セミナー後にやる勉強方法と上達速度が明らかに変わるのですから。

 

少しでも興味があれば是非ご参加してもらえればと思います。